ATS|テスト自動化

CASE

メディカル機器の組込みソフトウェア開発において、テスト自動化を推進

富士フイルムソフトウエア株式会社

テスト工数を92%削減!数万パターンにおよぶ網羅テストの自動化で品質を徹底追及

企業プロフィール

富士フイルムグループの富士フイルムソフトウエア株式会社は、設立以来ソフトウェアの中核会社として、医療システム、写真プリントシステム、デジタルカメラ、印刷システム等、富士フイルムの主力製品・サービスの企画・開発から運用保守を行っています。同社の保有する高速処理技術、AI技術、画像処理技術を組み合わせ、複数モデルを用いた高度な画像AIの開発や、クラウド技術を活用した新サービスを開発。また、業務DXにおいてもAIや最先端ツールを活用した自動化を進め、富士フイルムの生産工場における効率化を実現しています。

組込み機器開発におけるテスト自動化の「課題と解決」

Adoc テストサービス
富士フイルムグループ全社を横断して最先端のIT技術導入を主導する同社では、メディカル機器の組込みソフトウェア開発において、開発期間の1/3を占めるテストの品質向上と効率化が大きな課題となっていました。
そこで2018年に、テスト工程の課題を解決するべく、テスト自動化ツールEggplantを導入。FDA (米国食品医薬品局) の基準を満たすため、医療機器開発で利用可能なテストツールであることを評価し、製造現場の安全性と有効性を認定するバリデーションを取得しました。採用の決め手は、従来難しかった低リソースの組込み機器でもテスト自動化が可能になったことです。導入後、同社が独自開発したテスト条件自動生成の仕組みと連携させることで、現在、User Interface (UI) を利用するメディカル機器全機種から、他事業部門、富士フイルムグループ内へとEggplantの適用が広がっています。

課題
  • CPUやメモリなどのハードウェア性能に制限が多い組込み機器でテストの自動化を実現したい。
  • 開発期間の1/3を占めるテスト工程の品質と効率の向上を図りたい。
解決
  • Eggplantは画像認識技術をベースにリモートで接続しテスト実行できるため、対象機器のソフトウェアやリソースに制限されることなくテスト自動化を実現。
  • 操作の組み合わせパターンが3万通りを超える超音波内視鏡装置において、網羅性を確保した品質の向上と、手動テストに対して92%の工数削減を実現。
開発期間の1/3を占めるテスト工程の品質向上と効率化が課題に

Adoc テストサービスメディカル、フォトイメージング、グラフィック、デジタルカメラなどの分野で、富士フイルムと一体となって製品やサービスの開発、運用を担う富士フイルムソフトウエア。グループ全体のソフトウェア開発機能とICTインフラの構築・運用を担う同社は、これまで培ってきた先端・独自技術に加え、デジタル技術をいち早く取り込み、スピーディーな新サービス開発を実現しています。優れた技術力に加え、高い開発力も同社の強みです。

デジタルX線画像診断システム、内視鏡システム、超音波診断装置などメディカル機器のソフトウェア開発の課題について、ソフトウエア開発本部 副本部長 佐々木弥氏は次のように話しています。
「近年、技術が急速に進歩する中で、人の健康に関わるメディカル機器へのニーズに応える高性能、高信頼性を実現するとともに、競争力向上の観点からリードタイムの短縮やコストの抑制が求められています。また時間を有効活用して生産性向上を図る働き方改革も重要なテーマです」

同社において、メディカル機器のソフトウェア開発の生産性向上で重要なポイントとなるのが、開発期間の1/3を占めるテストの品質向上と効率化でした。この点についてソフトウエア開発本部メディカル機器グループ 山田陽平氏は以下のようにコメントしました。
「テストの自動化はかなり進んでいたのですが、まだ製品と利用者の接点となるUIに関わる画面操作のテストには未着手でした。従来は、実際に画面のボタンを押して動作を確認するため、複数人で長い時間をかけてチェックを行っていました。ワールドワイドで展開するメディカル機器の場合、多言語に対応した表示確認を全パターンで行うなど多くの手間と時間を要し、開発コストの増大と品質確保が課題となっていたのです。人間の目視による確認では、表示レイアウトの見切れといった気付きにくい不良を見落とすリスクがありました。」

QCDの観点からテスト項目に漏れがないよう網羅性を担保しながら、コストの抑制、テスト時間の短縮を図るためには、人手に頼るテストでは限界がありました。こうして2017年末、同社は組込み機器開発の画面操作におけるテスト自動化ツールの選定に入ったのです。

汎用性と拡張性を高く評価しEggplantを採用

同社は絞り込んだ2つの製品について、実際のテスト運用を想定したモデルケースでトライアルを実施し様々な観点から評価しました。そこで採用の決め手となったのは、「組込み機器での使いやすさ」でした。
「Eggplantは、画像認識技術をベースとした独自技術によりリモートで接続しテストを行うため、従来は難しかったハードウェア性能に制限の多い組込み機器であってもテストの自動化を実現できる。その汎用性を高く評価しました。またシミュレーターPCを順番に操作し、テストシステム全体を自動化するといった高度な使い方にも応える拡張性もポイントとなりました」(山田氏)

またモデルケースでの評価において、開発者が気にする細部にまで配慮を感じたと、山田氏は付け加えます。
「例えば、他社ツールはスムーズな自動再生のために細かい調整が必要でしたが、Eggplantは人が画面のボタンを押していくのと近い感じで、自動的に操作が進められました。また操作の自動録画機能を使ってテストシナリオを実施し、各画面で確認対象を指定するだけ、3行程度のコードが書ければ誰でも利用できることも評価しました」

同社は、2018年3月にEggplantを導入し、FDAのバリデーションを取りました。導入してすぐにEggplantはその実力を遺憾なく発揮することに。そのひとつ、超音波内視鏡における画面遷移パターン3万通りのテスト自動化を実現したのです。

網羅性を確保しながら、手動テストに対し92%の工数削減を実現

Eggplantを活用して自動化することにより、納期達成の目途を立てた同社のソフトウエア開発本部 メディカル機器グループ 研究員 東未央氏東氏は次のように説明します。
「画面遷移パターンが3万通りに及ぶ超音波内視鏡のテストに、Eggplantを活用しました。影響範囲の大きい仕様変更の開発でテストに必要な人手と時間を試算したところ、納期に間に合わせることが困難であることが分かり、テストの自動化に舵を切りました」

さらに、テスト工程全体を効率化するために、人手の作業として残る「テスト条件作成」を自動化する仕組みを独自開発しました。その仕組みについて東氏は次のように説明します。
「画面遷移パターンを分析すると、30種類程度の操作方法の組み合わせで構成されていることが分かりました。そこで、操作毎にテストスクリプトを部品化し、組み合わせてテストを自動生成できるようにしました。これにより、自動テストの作成工数を飛躍的に削減でき、テスト自動化の早期立ち上げにつながりました。Eggplantによるテスト自動化と合わせて、従来の手動と比べ92%の工数削減効果が得られました」

24時間365日、いつでもテストが実施できる環境を構築したことは、品質と生産性の両面で効果が大きいとさらに東氏は語ります。
「昼間は人間でしか行えないテストを行い、夜間・休日はEggplantによる無人の自動テストを実施することで、リードタイムの大幅な短縮を実現できます。また、数万パターンを超える網羅テストが繰り返し実施可能になったからこそ、見つけることが出来た不具合もありました。さらに、自動化により人為的ミスの発生もなくなりました」

「不具合解析の効率化にも効果がありました。メディカル機器をリリースするまでには何段階も品質保証部門によるチェックがあります。品質保証部門はユーザーが想定外の使い方をした場合も含め、製品利用時の品質を様々な観点からテストし、問題がないか徹底的に確認します。こういったテストで見つかった不具合は、再現テストに時間がかかることがありましたが、ここにEggplantを活用して自動化することで、再現テストの実施工数をゼロ化できました」

UIを利用するメディカル機器の全機種でEggplantの利用を検討

一方、社内でEggplantを普及させるために、講習会の開催や、社内コミュニティ活動などを行ってきました。
「実際に成果が出始めたことでEggplantによるテスト自動化の裾野が広がり、テストの要因分析やテストスクリプトの部品化・再利用性などへの意識が高まりました。また普及の一方で、管理者不在の野良テスト増加を防止するために、品質保証部門と一緒に一元的な管理を検討しています」(山田氏)

現在、同社ではUIを利用するメディカル機器の全機種でEggplantの活用を検討中です。またメディカル機器以外の事業部門に加え、富士フイルムグループ内にもEggplantの適用拡大が進んでおり、情報交換や部品の再利用も行っています。さらに様々なUIに対して柔軟に適用できるEggplantの特徴を活かし、社内稟議システムを自動モニタリングするRPA (Robotic Process Automation) ツールとしての活用も始めています。

最後に、Eggplantの導入は様々な課題解決につながっていると佐々木氏は話します。
「まず、テスト業務の大幅な工数削減により働き方改革に大きな効果をもたらしました。また網羅性を高めることによる品質の徹底追求や、夜間・休日に自動テストを実施することでリードタイム短縮を図るなど、QCD全体の向上に貢献しています」

Work illustrations by Storyset

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