2021.8.6
AIによる探索的テスト自動化を実現する『ATS for Eggplant』とは (後編)
「探索的テスト」は、テストを実行しながら次のテスト項目を探索していくテスト技法です。バグを効率的に検出しつつテスト工数を大幅に削減できる有力な技法ですが、適用には「熟練したテスターが必要」などの課題が多く存在します。
こうした課題の解決策として、AI (人工知能) やモデリング技術により探索的テストを自動化する『ADOC Testing Service (ATS) for Eggplant』が有力な選択肢となります。ATS for Eggplantは、米国キーサイト社の探索的テスト自動化ツールである『Eggplant』の導入をワンストップで支援するサービスです。
後編となる本記事では、他の探索的テスト自動化サービスにはないATS for Eggplant独自の優位性についてご紹介します。ATS for Eggplantの概要や、課題解決につながる理由については前編の記事をご一読ください。
AIによる探索的テスト自動化を実現する『ATS for Eggplant』とは (前編)
ATS for Eggplantが有する4つの優位性
ATS for Eggplantは、AIに加えてテスト対象をモデリングする「モデルベーステスト」の適用により、探索的テスト自動化の課題を解決します。さらに、他のテスト自動化サービスでは享受できない独自の優位性を有しているのです。ATS for Eggplantが有する4つの優位性について解説します。
優位性1:テストの全プロセスを自動化可能
前編でも解説した通り、ATS for EggplantではAIやモデリングによる高度な探索を行うことで、探索的テストの設計および実行が自動化されます。多くのテスト自動化ツールやサービスでは、一部の実行プロセスしか自動化の対象としていません。一方のATS for Eggplantでは導入コンサルティングのもと、テストケースの自動作成や探索的バグハンティングを含むテストの設計や実行だけでなく、監視・分析やフィードバックといった、あらゆるテストプロセスの高度な自動化を支援します。
ATS for Eggplantにより実行されたテストの結果は、レポートとして自動生成されます。このレポートにはテストのカバレッジなどに加えて、テスト結果からAIが予測・分析した情報も含まれます。そのためテスト実行後のフィードバックが自動化され、リリース判定に要する工数を大幅に削減可能です。
さらに、テストによって検出したバグ情報は、システムの特性などと合わせてAIが蓄積・学習します。次回のテストではその結果を踏まえてテスト設計が自動で行われるため、テスト計画書を作成する必要がありません。このように、テスト計画からフィードバックまでのプロセスをすべて自動化でき、テスト実行のみ自動化するサービスと比べて大幅な工数の削減が可能となります。
優位性2:多種多様なE2Eのテスト環境に対応可能
テスト対象となるサービスには、Webアプリやスマートフォンアプリ、デスクトップアプリなど様々な種類が考えられます。また、WebアプリであればパソコンやスマートフォンのあらゆるOSやブラウザが動作環境となり得ます。一般的なテスト自動化サービスでは、これらの多種多様なテスト環境すべてに対応することは困難です。
その点ATS for Eggplantであれば、サービスや動作環境、端末の種類を問わず、探索的テストの自動化が可能となります。これは、AIの画像認識や文字認識によりシステムの状態やテスト結果を正確に判断できるためです。これによって、デバイスやプラットフォームの違いに起因する、わずかな表示や挙動の差異にも柔軟に対応できます。
また、ATS for EggplantはVNCやRDPといった技術を採用しており、テスト対象システムのリモート操作が可能です。これらの技術により、複数システム・デバイスを連携させた複雑なテストの自動化を実現します。
このようにATS for Eggplantは、製造や組込み系、金融、自動車、ヘルスケア、通信、物流、小売、ゲームなどのあらゆる業種において、単体・結合テストから回帰テスト、システムテストなどの機能テストと、UXや負荷テストなどの非機能テストまで広範な自動化を適用対象とします。
優位性3:ユーザー視点からのテスト (UXテスト) が可能
テストの自動化ではほとんどの場合、あらかじめテスターが想定したテスト項目しか実行できません。しかし、実際のユーザーが行う操作の内容やタイミングを考えると、膨大なシチュエーションが考えられます。あらゆるユーザー体験を想定して、探索的テストを自動化することは困難です。
その点、ATS for Eggplantでは操作性の高いUIを用いて、システムの取りうる状態を1つのモデルとして定義します。そのため、多種多様なユーザー体験をモデルの中に集約でき、テスト設計の漏れを防止可能です。さらに、大量の経験を蓄積したAIがそのモデルを探索することで、テスターが思いもよらないユーザー体験をテストできます。
このようにして、ATS for Eggplantではあらゆるユーザー視点を想定したUXテストが可能となるのです。これは、一例としてシステムフリーズの約20%削減や、顧客のコンバージョン率の約15%向上という結果につながっています。
優位性4:Eggplant認定技術者による導入コンサルティング・効果検証サービス
ATS for Eggplantでは、コア製品であるEggplantの導入コンサルティングを受けることが可能です。対応にあたるチームは、高い専門性を持つ「Eggplant認定資格技術者」の数において国内最多を誇っています。熟練したスタッフの適切な導入コンサルティングにより、開発現場への迅速な適用を実現します。
また、Eggplantの本導入前には『ATS効果検証サービス』によって、本導入後の投資効果を検証可能です。スタッフが実際にテスト対象システムの探索的テスト自動化を実施し、QCD改善効果を検証してベンチマークを提示します。これによって自動化導入の可否やリスクを事前に把握でき、本導入の意思決定が容易となります。さらに、その検証結果は無駄なく引き継がれるため、本導入へのスムーズな移行が可能です。
AIによる探索的テスト自動化を実現し、DX時代に選ばれるサービス開発を
今回は、探索的テスト自動化を実現するATS for Eggplantの優位性についてご紹介しました。そのサービスが提供するメリットをまとめると次の通りです。
・自動化を駆使したテスト設計・実行により、比類のないバグ抽出と高カバレッジを実現
・あらゆるテストケースを自動生成し、開発・QA現場の生産性を最大化
・探索的テストの実装により、テスターが考えつかないユーザージャーニーを実行
・高度なAI技術で、品質問題が起こるリスクの高い箇所を予測・分析・レポ-ト
・ユーザ体験/顧客体験 (UX/CX) の評価・活用
アジャイル開発などで短い開発サイクルを繰り返す今日の開発現場では、テストに十分な工数を費やすことが難しくなっています。このような状況において探索的テストは非常に有効であり、開発現場に適用すべき手段です。
探索的テストの効果的な適用には自動化が欠かせないものの、解決しなければならない多くの課題が存在します。ATS for Eggplantの適用は、こうした課題を解決しつつ探索的テストのメリットを最大限に享受できる有力な選択肢です。
DXが急速に浸透する現代では、高度なデジタル技術によってビジネスに幾多の変革が生まれています。多様化するユーザーのニーズに応えるサービス開発を速やかに実現するためには、これからのテスト自動化にも大きな変革が求められるでしょう。
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