ATS|テスト自動化

2021.5.24

テスト自動化と “ユーザー体験 (UX)” とは?-DX時代のユーザビリティテストを考える。

テスト自動化と “ユーザー体験 (UX)” とは?-DX時代のユーザビリティテストを考える。

AIやIoTといったデジタル技術の急速な発展は、日本企業のビジネスモデルに大きな変化をもたらしています。新しいデジタル技術を導入してビジネスモデルを変革する、いわゆる「DX」の取り組みは今日の日本企業にとって重要課題です。

そして、DX時代の到来によってユーザーのサービスに対する向き合い方も変わりつつあります。このような変化に対応するためには、サービスの品質を保証するテストにも変革が必要です。実際のところ、テストはコスト削減の課題や納期のプレッシャーを抱えやすい工程でもあり、思い通りに進められずお悩みの方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、DX時代のユーザビリティテストに求められる課題と要件や、テストを変革するための方法について解説します。

DX時代のサービス提供には、「ユーザビリティテスト」が重要

DXが広がるにつれて、「サブスクリプション」という新しいビジネスモデルがポピュラーに。特にIT業界では、従来のパッケージ製品を販売する方式からサブスクリプション方式への移行が顕著に見られます (ADOC Testing Service for Eggplantもその一つ) 。

サブスクリプション方式の普及によってユーザーが低価格、低リスクで好きなサービスを選びやすくなった反面、使いづらいと感じた場合に他の製品、サービスに流れやすくなったとも言えます。契約が比較的簡単に行えるものの、解約も同じく簡単に行えるのです。ユーザーに継続して利用してもらうサービスを提供するためには、ユーザビリティ (使いやすさ) を追求することが重要な要件になってきます。

サービスのユーザビリティを保証するためには、当然ながらテストが欠かせません。適切かつ速やかなユーザビリティテストを実施することが、ユーザーにとってより快適なサービスの提供につながります。

ユーザビリティテストに立ちはだかる3つの課題

ユーザビリティ向上への取り組みが重要となる中、現実的にはユーザビリティテストに難しさを感じている方も多いのではないでしょうか。ここではユーザビリティテストを難しくしている3つの大きな課題について、解説します。

課題1:テスト項目数が膨大になりやすい

サービスを使う環境も行われる操作も、ユーザーによって様々です。ユーザビリティテストでは、あらゆる利用パターンを想定したテストを実施しなければなりません。利用ブラウザや入力項目といった多くの要素を掛け算式に組み合わせると、テスト項目数が膨大になりやすい課題があります。
複雑化の傾向にあるシステムのテストにかかる工数は相当なものであり、開発スケジュールを圧迫することも少なくありません。結果として十分なユーザビリティテストが行われないことも多く、サービスの品質を向上できない要因となってしまいます。

課題2:テストの判断基準があいまいになりやすい

ユーザビリティテストでは、システムの表示や動作がユーザーにとって快適なものであるかを評価します。しかし、何をもって「ユーザーにとって快適」と判断するのか、基準を明確に定めるのは容易ではありません。結果としてテストの判断基準があいまいになりやすく、正確なユーザビリティを保証するのが難しいのも課題です。
判断基準が不明確なままテストを実施するのでは、ユーザーが実際に感じる使いづらさを正確に見つけ出すのは難しいでしょう。テストの設計段階でしっかりした判断基準を定めるためには、多くの時間と労力が必要となります。現実的にはスケジュールに余裕がないことも多く、準備が不十分なままテストを実施することになりがちです。

課題3:実際のユーザー体験 (UX) を、すべて網羅するのが難しい

ユーザビリティにおいて最も留意すべきポイントは、製品やサービスを実際に利用するユーザーには、それぞれの「ユーザー体験 (UX:User eXperience) 」が伴うという点です。UIやユーザビリティは、いわばUXを実現するための1要素に過ぎません。 ユーザビリティテストをサービス品質向上に役立てるには、単にUIテストを自動化するだけではなく、UXを網羅的に評価する無数のテスト項目が必要です。しかし、多種多様なUXをすべて想定するのはシステム開発者にとって困難で、テストの網羅性を保証することが難しいという課題があります。
また、実際には手順が複雑だったり細かいタイミングが要求されたりするユーザー操作もあるはずです。テスターが手作業でテストを実施するのでは、これらのユーザー操作をすべて再現するのは難しいでしょう。それだけでなく、テスト環境を構築するために多くのソフトウェアをインストールすると、想定するユーザー環境と差異が生じる恐れもあります。

ベストな解決策は、UXまでテストできる自動化ツールの導入

このように、従来のような手作業でのユーザビリティテストには、多くの課題が存在します。ベストな解決策は、機能、パフォーマンスおよびユーザビリティなどUXに関連する重要なポイントを含むすべてのテストを自動化できるツールを導入することです。

テスト自動化ツールの多くは、プログラミングの知識がない方でも自動化するためのシナリオを少ない労力で作成できます。手作業に比べて飛躍的にテストを効率化できるので、テスト項目数が膨大になったとしてもある程度は問題ありません。また、一度自動化してしまえばバージョンアップ時でも最小限のチューニングだけで済み、工数のかさむ回帰テストも短時間で実施できます。

しかもテスト自動化ツールであれば、作成したシナリオにしたがってプログラムが自動的に操作を行ってくれます。そのため複雑な手順やタイミングがシビアな操作でも、問題なく再現可能です。高度なテスト自動化ツールであれば手作業では再現が難しいUXでも評価でき、テスターが思いもよらないユーザージャーニーの実行を通じて、飛躍的なサービス品質向上につながります。

「Eggplant」によるテスト自動化のメリット

テストには実行だけでなく計画や設計、フィードバックといった様々な工程が存在します。実際には、UXの検証を含むこのようなテスト実行以外の工程に多大な時間とコストを費やすことが通例です。しかし、出回っているテスト自動化ツールのほとんどは、テスト実行だけしか自動化できません。

テストで発生する全ての工程を効率化したい場合、ADOC Testing Service for Eggplantのコア製品である「Eggplant」が選択肢の1つとなります。Eggplantは、世界で初めてAI技術を取り入れた探索的テスト自動化ツールです。人工知能 (AI) や機械学習、アナリティクス機能を使用して、さまざまなインターフェイス、プラットフォームおよびデバイスにおいて、実際のユーザー体験までテストできるように設計されています。

Eggplantを導入することの大きなメリットを、3つご紹介しましょう。

メリット1:テストで発生するすべてのプロセスを自動化できる

最大のメリットは、テスト実行以外のプロセスであっても自動化できることです。たとえば、Eggplantだとテストを実行しながらAIが次に行うべきテスト項目を自動で考えてくれるため、テストの詳細設計を手作業で行う必要がありません。また、テスト結果レポートの作成やリリース可否の判断もAIが行うので、テスト実行後のフィードバックも確実かつ効率的です。
すべてのテストプロセスを自動化することで、テスト実行だけを自動化する場合と比べて大幅に工数削減できます。結果としてシステム開発者が本来の業務に注力できるだけでなく、リリース時期を早めることでコスト削減や顧客満足度の向上にもつながります。さらには、フィードバックをスピーディーに行うことで、次の新サービス開発など企業の意思決定を早めるのにも効果的です。

メリット2:AIによる画像認識・文字認識で、正確に判断できる

Eggplantでは画面上の画像や文字をAIが自動認識することで、人間以上に正確な判断が行えるのもメリットです。文字認識にはOCR (光学文字認識) の技術を使用しており、200以上の言語で表示された文字に対応できます。人間がテスト結果を判定するよりも高速なうえに確実で、バグの検出漏れや誤検出の心配がありません。
また画像認識にも高度な技術が使われており、プラットフォームの違いによる表示位置や表示タイミングの細かい差異にも柔軟に対応できます。あらゆるプラットフォームから利用された場合のユーザー体験を自動で再現してくれるため、手作業のようにテスト実施が上手くできず悩まされることもないでしょう。

メリット3:網羅的かつ効率的にテストを進められる

Eggplantでは、テストの設計と実施を並行する「探索的テスト」とモデリングという手法を用いて、テストを自動化します。テストを実施しながら次に実施すべきテスト項目をAIが自動で探索するため、短期間で効率的にテストを進められるのもメリットです。手作業で探索的テストを行う場合と違って、テスターの経験やスキルに依存することもありません。
それまでのテスト結果をもとにバグが発生しやすい箇所を集中的にテストするため、効率的にバグを検出可能です。また、テストの網羅性についてもAIが考慮してくれるので、漏れなくテストを実施できます。テスト実施時にはカバレッジ (網羅率) が可視化され、テストに漏れがないかツール利用者自身もひと目で分かります。

ユーザーシップ重視のテストで、選ばれるサービスづくりを

今回は、DX時代に欠かせないユーザビリティテストの課題や、その解決策となるUXの実現についてご紹介しました。

“Goodbye, OwnerShip. Hello, UserShip.”とは、「所有から利用へ」と商品サービスやビジネス取引の形態に劇的な変化をもたらすことを説いた『Subscription』の著者であるティエン・ツォ氏の言葉です。これを開発現場の話に置き換えてみますと、″UserShip (ユーザーシップ) ″とは「顧客主義、顧客主導」のことであり、これからは「開発側の視点のサービス品質」から「顧客視点の品質」への変換が求められていることを意味します。開発・テスト工程において、開発側では思いもつかない、ユーザーの使用感や体験の質、課題を見つけ出すUXの実現が今後の重要な指針となることは間違いないでしょう。

しかしニーズも多様化しており、全てのユーザーが納得できるサービスだと保証するうえで、膨大な量のユーザビリティテストを行う必要が生じます。このようなテストを迅速かつ正確に行うためには、やはりUXを含むテストのあらゆるプロセスを自動化できるEggplantの実装をワンストップで支援するADOC Testing Service for Eggplantなどの導入を検討することで、テストそのものに変革を起こしてみてはいかがでしょうか。

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